皆さんこんにちは!
栄達鋼業、更新担当の中西です。
“火花”の向こう側で
今日は少し視点を変えて、鉄骨加工工場の一日を追いかけてみたいと思います。
「工場の中ってどんな感じなの?」
「一日中、溶接で火花が飛んでいるイメージ」
そんな声もよく耳にしますが、
実は工場の中には、
図面を読む人
機械を操作する人
溶接で仕上げる人
検査でチェックする人
など、さまざまな役割の人たちがいます✨
少しでも雰囲気が伝わるように、
朝から夕方までの流れに沿ってご紹介していきますね🏭
目次
工場の一日は、朝礼からスタートします🌅
今日加工する物件・部材の確認
工程ごとの担当割り振り
フォークリフトやクレーンの稼働エリアの共有
危険ポイント(KY活動)の確認
などを行います。
「今日は長尺物が多いから、玉掛けはいつも以上に慎重に」
「午後から検査が入るから、午前中にこの梁を仕上げよう」
こうした会話を通して、
**安全第一で、かつ段取りよく仕事を進めるための“イメージ合わせ”**をしていきます🧠
ヘルメット・安全靴・保護メガネ・手袋などの保護具も、
ここできちんと装着チェック✅
朝礼が終わったら、それぞれの持ち場へ。
まずは図面確認です。
どの部材を何本つくるのか
品番・サイズ・長さ・孔位置・開先形状
材質(SN材・SM材など)
を確認し、
「間違った材料で加工してしまう」といったミスを防ぎます。
次に、材料置き場から鋼材をピックアップ。
フォークリフトや天井クレーンで、
長くて重たいH形鋼やプレートを加工機の近くまで運びます。
このときも、
吊り具(ワイヤーロープ・チェーン)の状態
吊り方(バランス)
周囲の安全確認
など、慎重さが求められる工程です🧐
いよいよNC切断機や孔あけ機がフル稼働し始めます。
オペレーターは、
機械の操作盤にデータを入力し、
指定の長さで鋼材を切断していきます。
まっすぐな切断
斜め切り・角度切り
複雑なフランジカット
など、さまざまなパターンがあります。
切断面ひとつで、
のちの組立のしやすさ・溶接のしやすさが変わってくるため、
刃の状態や送り速度もこまめに調整します🔧
ボルトで接合するための孔は、
位置
ピッチ(間隔)
孔径
が非常に重要です。
NC孔あけ機で自動加工を行いますが、
ドリルの摩耗
鋼材のセット位置
バリの処理
など、人の確認が欠かせないポイントも多いです👀
「ここで1mmずれると、現場で苦労する」
そんな意識を持ちながら、一つひとつの孔をあけていきます。
切断・孔あけが終わった部材は、組立エリアへ移動します。
ここでは、
柱の上下にベースプレート・柱頭プレートを取り付ける
梁の端部に仕口プレートを組み付ける
ガセットプレートやスチフナを規定位置に仮付け溶接する
といった作業が行われます。
組立治具を使いながら、
垂直
直角
通り
を確認し、必要に応じてハンマーやジャッキで微調整🔨
図面の世界で見ていたものが、
目の前で実際の“鉄の構造物”として立ち上がっていく瞬間は、
何度見てもワクワクします😊
午前中の作業がひと段落したら、お昼休憩。
鉄骨工場は
溶接熱
機械の稼働
夏場の外気
などで、とにかく暑くなりがちです🔥
しっかりご飯を食べて、水分・塩分を補給し、
午後の作業に備えて身体と頭をクールダウンさせます。
休憩時間には、
今日入ってきた新しい物件の話
使いやすい工具の情報交換
最近の現場での苦労話
などで盛り上がることも多く、
こうした雑談の中から現場改善のヒントが生まれることもしばしばです😄
午後は、溶接作業が本格化します。
組立が終わった部材は、
裏はつり
本溶接
補修研磨
などを経て完成へと近づいていきます。
溶接工は、
電流・電圧
溶接速度
溶接棒・ワイヤの選定
を、その場の条件に合わせて細かく変えながらビードを引いていきます。
下向き・立向き・横向きなど、姿勢によって難易度も変わります。
分厚い部材の溶接では、何層にも重ねて溶接を行い、
内部までしっかりと溶け込ませていきます🧱
周囲から見ると、
「バチバチ火花が出ている派手な作業」に見えるかもしれませんが、
実はとても繊細で集中力のいる仕事です。
アーク長のわずかな違い
トーチの角度
手の動かし方
によって、溶け込みやビード形状が変わってしまうからです😌
溶接が終わった部材は、検査エリアへ移動します。
まずは外観検査で、
ビードの形状
アンダーカット
溶け落ち
ピット
などがないか、目で確認します。
必要に応じて、
超音波探傷試験(UT)
磁粉探傷試験(MT)
を行い、内部の欠陥の有無もチェックします。
全長・幅・高さ
対角寸法
柱の直立度
プレート位置
なども一つひとつ確認していきます。
検査担当は、
同じ工場の仲間であっても
「ダメなものはダメ」
ときちんと言わなければならない役割です。
つくった本人にとっては耳の痛い指摘ですが、
それが**現場や最終的な安全につながる“最後の砦”**でもあります💡
検査に合格した部材は、
塗装ラインへと移されます。
ケレン(サビや汚れの除去)
プライマー塗装(防錆)
指定色での仕上げ塗装
などを行い、鉄骨を錆から守る“鎧”をまとわせます🛡️
最後に、
部材番号
取り付け位置
向き
などをマーキングし、
現場で組み立てやすいように整えて出荷します。
トレーラーに積み込むときも、
現場での建て方順
荷降ろしのしやすさ
輸送中の安全性
を考えながら慎重に配置していきます🚛
「この柱は1階の隅だな」
「この大梁は、あの大空間の頭上を通るやつだ」
そんなことを思いながら、
一本一本を送り出します。
一日の終わりには、
使用した工具・機械の点検・清掃
作業エリアの片付け
翌日の材料の仮置き
進捗状況の共有
などを行います。
工場をきれいに保つことは、
つまずき・転倒事故の防止
火災リスクの低減
工具・材料の紛失防止
につながります。
「散らかった工場では、良い仕事はできない」
これはどの鉄工所でも共通した考え方かもしれません😊
自分の仕事が、実際の建物として何十年も残る
大きなものをつくるダイナミックさが気持ちいい
チームで協力しながら一つのプロジェクトをやり切る達成感
技術を身につけるほど、任される仕事が増えていく
夏の暑さ・冬の寒さなど、環境的に厳しい日もある
重量物の取り扱いで常に安全意識が必要
納期がタイトなときは、段取りを工夫しないと間に合わない
それでも、
「あの建物、うちの鉄骨なんだよ」
と胸を張って言えるのは、
この仕事ならではの誇りです🌈
鉄骨加工工場の中では、
鉄と火花
機械の音
職人たちの声
が飛び交っています。
一見すると、
「無骨でハードな世界」に見えるかもしれません。
でも、その先には必ず、
そこで働く人たち
そこで暮らす家族
そこで遊ぶ子どもたち
の姿があります。
私たちが今日加工した一本の柱・一本の梁が、
何十年ものあいだ、
誰かの仕事・生活・笑顔を支える存在になる。
そう思うと、
溶接の火花も、切断機の音も、
どこか誇らしく感じられます😊
これからも私たちは、
一本一本の鉄骨に責任を持ち、
**「安全で、長く使える建物を支える“見えない主役”」**として、
ものづくりに向き合っていきたいと思います🏗️✨
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