オフィシャルブログ

栄達鋼業のここがミソ~強度を支える~

皆さんこんにちは!

栄達鋼業、更新担当の中西です。

 

~強度を支える~

 

鉄骨製造において、溶接は特に重要な工程です。

柱、梁、プレート、補強材などを熱によって接合し、一つの強固な部材へ仕上げます。適切に溶接された接合部は、大きな荷重を受けても簡単には離れません。

しかし、溶接は金属同士を溶かして付ければよいという単純な作業ではありません。

鋼材の種類や厚さ、接合部分の形状、溶接姿勢、電流、電圧、速度など、多くの条件を適切に管理する必要があります。外観がきれいに見えても、内部に欠陥があれば、本来の強度を発揮できない可能性があります。

今回は、建物の強度と安全性を支える鉄骨溶接の技術についてご紹介します🔥

溶接によって鉄を一体化する

溶接とは、金属の接合部分へ熱を加え、母材や溶接材料を溶かして一体化させる技術です。

鉄骨製造では、アーク溶接が広く使用されています。電気によってアークと呼ばれる高温の放電を発生させ、その熱で鋼材と溶接材料を溶かします。

溶けた金属は冷えることで固まり、部材同士を強固に接合します。

鉄骨製造で使用される代表的な方法の一つが、半自動溶接です。溶接ワイヤが自動的に供給されるため、作業者は溶接トーチを操作しながら接合部分を溶接します。

手作業の柔軟性と連続的なワイヤ供給を組み合わせることで、効率よく溶接できます。

また、製造する部材や工場の設備によっては、溶接ロボットが使用される場合もあります🤖

ロボットは、設定した条件で同じ動作を繰り返せるため、品質の安定と生産性向上に役立ちます。ただし、部材の位置がずれていたり、開先の状態が異なっていたりすると、適切な溶接ができません。

ロボット溶接でも、事前の組立精度や条件設定、施工後の確認には、人の技術が欠かせません。

溶接前の準備が品質を決める

良い溶接を行うためには、溶接作業そのものだけでなく、事前準備が重要です。

まず、接合部分にさび、油、水分、塗料などが付着していないかを確認します。

異物が残っていると、溶接金属の中へガスや不純物が入り、気孔や割れなどの欠陥につながる可能性があります。そのため、ワイヤーブラシやグラインダーなどを使用して表面を清掃します✨

次に、開先の形状や部材同士の隙間を確認します。

厚い鋼材を確実に接合するには、溶接材料が奥まで入り込める形状が必要です。開先角度が狭すぎれば十分に溶け込まず、広すぎれば溶接量が増えて変形も大きくなります。

部材同士の隙間が図面や施工要領どおりになっているか、ずれや段差がないかも確認します。

溶接前の確認を丁寧に行うことで、欠陥の発生を防ぎ、安定した品質につなげることができます。

電流・電圧・速度を調整する技術

溶接品質は、電流、電圧、溶接速度などの条件によって大きく変化します。

電流が低すぎると、鋼材を十分に溶かせず、溶込み不足が発生する可能性があります。反対に電流が高すぎると、溶け込みが深くなりすぎたり、鋼材に穴が開いたりします。

電圧は、アークの長さや溶接ビードの広がりに影響します。

溶接速度が速すぎれば、必要な溶接量を確保できません。遅すぎれば、熱が過剰に加わり、変形や欠陥の原因になります。

溶接技能者は、鋼材の厚さ、溶接姿勢、継手の形状、ワイヤの種類などに合わせて、条件を調整します⚡

さらに、作業中にはアークの音、火花の飛び方、溶融池の状態などを確認します。

溶融池とは、溶接中に金属が溶けて液体になっている部分です。熟練した技能者は、その動きを見ながらトーチの角度や移動速度を細かく調整します。

数値で設定された条件だけでなく、目や耳、手に伝わる感覚を使って仕上がりを判断することが、職人技といえる部分です。

姿勢によって難しさが変わる

溶接には、下向き、横向き、立向き、上向きなど、さまざまな姿勢があります。

下向き溶接は、溶接する場所を上から見ながら作業できるため、比較的安定しやすい姿勢です。

一方、立向きや上向きでは、重力によって溶けた金属が流れやすくなります。そのため、トーチの角度や運び方を細かく調整しなければなりません。

鉄骨部材は大きく、すべての接合部を作業しやすい方向へ置けるとは限りません。製品の形状によっては、難しい姿勢で溶接する必要があります。

溶接技能者には、さまざまな姿勢でも品質を保てる技術が求められます👨‍🏭

また、長時間同じ姿勢で作業すると集中力が低下しやすくなります。適切な作業環境を整え、無理のない姿勢を確保することも、品質と安全を守るうえで重要です。

多層盛溶接の技術

厚い鋼材を溶接する場合、一度の溶接だけでは必要な断面をつくれません。

そこで、複数回に分けて溶接金属を積み重ねる「多層盛溶接」を行います。

最初の層は、接合部の最も奥に形成されるため、特に重要です。ここで溶込み不足や欠陥が発生すると、その上へ溶接を重ねても内部に残ってしまいます。

一層ごとにスラグや付着物を除去し、表面の状態を確認してから次の層を溶接します。

各層の厚さや重ね方を調整しながら、均一で欠陥のない溶接部へ仕上げます。

多層盛溶接では、どの順番で、どの方向から溶接するかも重要です。溶接熱が一か所へ集中すると、鋼材の変形が大きくなるためです。

左右を交互に溶接したり、複数箇所へ熱を分散させたりしながら、変形を抑えます🔄

温度を管理する技術

鋼材の種類や厚さ、気温などによっては、溶接前に鋼材を加熱する予熱が必要です。

冷えた厚い鋼材を急激に溶接すると、溶接部が急速に冷却され、割れが発生しやすくなる場合があります。

あらかじめ接合部分を適切な温度まで温めることで、急激な温度変化を抑え、割れのリスクを低減します。

また、多層盛溶接では、層と層の間の温度であるパス間温度も管理します🌡️

温度が低すぎても高すぎても、溶接部の性能へ影響を与える可能性があります。温度計などを使用し、定められた範囲内で作業を進めます。

溶接は熱を利用する技術だからこそ、熱の与え方と冷え方を管理することが重要なのです。

溶接変形を抑える工夫

溶接部分は、加熱されると膨張し、冷却されると収縮します。

この収縮によって、鉄骨部材が曲がったり、ねじれたりすることがあります。これを溶接変形と呼びます。

変形が大きいと、製品の寸法が基準を外れ、建設現場で取り付けられなくなる可能性があります。

そこで、溶接前に逆方向へわずかに角度を付けておく、治具で固定する、溶接する順番を工夫するなどの対策を行います。

一度に長い範囲を溶接せず、複数の区間へ分けて作業する方法もあります。

どの程度変形するかは、鋼材の厚さ、溶接量、部材の形状などによって異なります。

熟練した技術者は、過去の経験から変形の方向や大きさを予測し、完成時に正しい形状になるよう作業します📐

溶接部を検査する技術

溶接作業が終わった後には、外観を確認します。

溶接部の幅や高さが適切か、表面に割れや穴がないか、アンダーカットと呼ばれる溝が発生していないかなどを確認します。

しかし、外観だけでは内部の状態を確認できません。

重要な接合部では、超音波探傷試験などの非破壊検査を行います。超音波を溶接部へ伝え、反射の状態から内部の欠陥を調べます🔍

製品を壊すことなく内部を確認できるため、鉄骨製造の品質管理に欠かせない検査です。

検査で問題が見つかった場合は、欠陥部分を除去し、再溶接を行います。原因を確認し、同じ問題を繰り返さないための改善も必要です。

資格と継続的な技能向上

鉄骨溶接では、一定の技能を持つことを証明する資格や試験があります。

溶接技能者は、実際に試験材を溶接し、その外観や内部品質などによって技量を確認されます。

資格を取得した後も、安定した品質を維持するためには、日々の練習と経験が欠かせません。

鋼材や溶接材料、製造設備は変化しています。新しい技術や基準を学び続ける姿勢も重要です📚

若手技能者へ、トーチの動かし方だけでなく、なぜその条件が必要なのかを伝えることも、技術継承には欠かせません。

まとめ

鉄骨溶接は、建物の安全性を支える高度な専門技術です。

鋼材の清掃、開先確認、温度管理、溶接条件の調整、変形防止、検査まで、多くの工程を適切に管理することで、初めて高品質な接合部が完成します。

自動化やロボット化が進んでも、材料の状態を判断し、異常に気づき、適切な対応を行う技術者の存在は欠かせません。

鉄骨溶接は、外から見えなくなる部分だからこそ、誠実な施工と厳格な品質管理が求められます。

一つひとつの溶接部へ責任を持ち、建物を利用する人々の安全を守ること。それが、鉄骨溶接を担う技能者の使命です🔥🏗️